それは突然だった
予期せぬタイミングで病気の告知を受けた
それまで順調に積み上げてきた色んなものが
ガラガラと音を立てて崩れるのを感じた
人が挫折したり転落していく時の表現として
とてもポピュラーな言い回しだけど
わたしはリアルにそれを体感した
今までわたしがやってきたこと
その全てに自信が持てなくなって
やる気や希望や喜びなどの光がふっと消えて
ぽっかり空いた穴の様なそのスペースに
真っ黒の闇が押し寄せてくるのが分かった
愛
感謝
ありがとう
それらは自分の中から自然と湧き上がり
ほっこりとした温かさでわたしを満たしてくれる
今まではそれが当たり前だった
だけど
嵐のような真っ黒な闇が
わたしの内側をぐちゃぐちゃにして
忘れていたかった色んな感情を蘇らせ
心がバラバラに切り刻まれる感覚になって
気がつくと
あの当たり前にあった温かさが
よく分からなくなり
家族の愛や他人の優しさが
よく分からなくなり
感情の回路は破壊されてしまった
そのように感じられた
さらには
痛みや悲しみを感じるセンサーが
前よりもやたらと敏感になり
耐え難い時間がゆっくりと流れていく
この地獄が永遠に終わらない感覚に満ちていく
誰にも言えない
家族にも言えない
うまく表現できない
助けて欲しいと素直になれない
苦しいまま
悲しいまま
ただ淡々とそれらを味わっていたら
少しづつ変わっていくだろうか
焦ってもがいて動き回るよりも
ただ淡々とじっくり味わい切ったら
自分の中に何かしらの変化が起こるだろうか
もしくは耐えきれずに
身体も精神もぶっ壊れて
もう元には戻らないレベルに朽ちるだろうか